第12回研究会 巣ごもり読書会&チャプレン研究会 Islam in Prison(刑務所の中のイスラーム)を読む
巣ごもり読書会&チャプレン研究会第12回 Islam in Prison (刑務所の中のイスラーム)を読む 報告担当:上智大学 葛西賢太(かさいけんた) コメント:繁田真爾(しげたしんじ、東北大学)、細谷幸子(ほそやさちこ、国際医療福祉大学) 日時:2023年10月17日(火) 1830-2030 オンライン開催(10/14までの申込者に接続情報告知) Matthew Wilkinson, et al., Islam in Prison: Finding Faith, Freedom and Fraternity , Policy Press, 2022は、刑務所の中のムスリム(イスラーム教徒)の入所者・看守・チャプレンについての、英仏スイスを国際比較した、量的・質的調査に基づく研究書です。タイトルに仮の日本語訳を付すなら、『刑務所の中のイスラーム:信仰と自由ときょうだい愛を見いだす』というところでしょうか。注目いただきたいのは、279名もの入所者にくわえて、79名の看守やチャプレンについても調査を行うことで、刑事施設のあり方、処遇のあり方、再生活の支援についても考え、結果として社会のあり方を問う材料を提供してくれていることです。本書はカラフルな図版と、イスラームについて概説する章が加わった平易な叙述で、たとえば司法・行刑の分野だがイスラームについてはあまり知らないという方にも有意義なものとなっています。また、イスラームに対する誤解も解きながらも、少数の過激主義者が刑務所の環境に及ぼしている影響についても率直に示した、バランスのとれた研究といえるでしょう。 なお本書に先行し調査者も重なる重要な研究として、James Beckford and Sophie Gilliat, Religion in Prison: Equal Rites in A Multi-Faith Society , Cambridge University Press, 1998、および、Sophie Gilliat-Ray, et al., Understanding Muslim Chaplaincy , Routledge, 2013(一度紹介済み)があります。今回はこの二著の概略も紹介しながら、刑務所の中の宗教司式者・傾聴者としてのチャプレンのあり方が、イスラームの場合